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日経ビジネスの特集記事(102) 日本を揺るがす新常態 失速中国でも稼ぐ鉄則(1)  藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ



 

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

日経ビジネスの特集記事(102)

日本を揺るがす新常態
失速中国でも稼ぐ鉄則

2015.04.06


今週の特集記事のテーマは

中国経済が歴史的な転換期を迎えている。
世界2位へと駆け上がった高速成長時代に別れを告げ、
安定成長と構造改革を両立する「新常態」の時代に突入した。
その影響は、日本を含め世界経済を揺るがすインパクトを持つ。
習近平国家主席は抵抗を受けながらも反腐敗運動を進め、
格差の是正という難題を解決しようとしている。
大きく変化する中国では役人との付き合い方も含め、
ビジネスモデルを抜本的に見直す必要がある。
経済が失速する中でも賢く稼ぐ鉄則を探った

 (『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.024)

ということです。

 

日本を揺るがす新常態
失速中国でも稼ぐ鉄則
日本を揺るがす新常態
失速中国でも稼ぐ鉄則
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 

今特集のスタートページ01
今特集のスタートページ02
今特集のスタートページ
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 

中国問題を考える場合、2つの前提を考慮しなくては
なりません。

1つは、中国は中国共産党1党支配の国であり、
中国共産党は中国国家よりも上位にあるということ
です。

もう1つは、沿岸部には富裕層が多く集まり、内陸部
には貧困層が集中し、また都市部と農村部の所得
格差が拡大していることです。

こうした点について、今週号で『日経ビジネス』編集長
を退任される田村俊一氏は、「編集長の視点」で次の
ように語っています。

 


 中国の根深い問題はその二面性です。沿岸部の

 高所得者層と内陸部の貧困層。同じ国に先進国と

 発展途上国が混在している状況は、サステイナブル

 (維持可能)ではありません。中国共産党はそれを

 知り尽くしているからこそ、腐敗撲滅に急旋回して

 いるわけです。しかし、腐敗の摘発だけで格差が

 解消するわけではありません。中国を巡る不確実性

 は今後、さらに高まるでしょう。

 

  (P.003)

 

第1回は、
「PART 1 権力闘争か『新常態』の本質か
 どこまで続く 反腐敗の嵐」
「PART 2 ピケティが解説
 中国が『新常態』に突き進む必然」
を取り上げます。

第2回は、
「PART 3 日本企業にはむしろ商機
 失速下でも稼ぐ5つの鉄則」
を取り上げます。

最終回は、
「PART 4 インバウンドビジネスも活況
 『売り上げ9倍』
 訪日客が買う秘密」
「Epilogue バブルは2度やってくる」
をご紹介します。

 

今特集のキーワードは次の5つです。

 新常態 
 反腐敗 
 成長の鈍化 
 日本の商機 
 バブル 

 

では、本題に入りましょう!

 PART 1 権力闘争か「新常態」の本質か
 どこまで続く 反腐敗の嵐 

まず、中国要人たちが汚職の疑い(収賄や横領、着服)で、
逮捕されるニュースが日本にもしばしば伝えられます。

その実態を「トラ」「ハエ」「キツネ」に例えて、「すべての
腐敗を一網打尽に」(P.026)しようとしています。

 


 2012年11月に習近平氏が中国共産党総書記に就任

 して以降、中国全土に吹き荒れている反腐敗の嵐は

 収まる気配を見せない。「トラ(大臣・次官級の大物)も

 ハエ(下級の役人)も同時にたたく」として、階級にかか

 わらず取り締まる方針を打ち出し、実際に周永康・

 前政治局常務委員や軍の制服組トップだった徐才厚・

 元中央軍事委員会副主席など、これまでは聖域と見ら

 れていた役職者の腐敗を摘発した。

 

  (P.026)

 

何とも皮肉たっぷりなイラストがあります。

すべての腐敗を一網打尽に
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 

「トラ」「ハエ」「キツネ」についての解説が書かれています。
ご紹介しましょう。不謹慎と言われるかもしれませんが、
思わず笑ってしまいました。

ですが、『日経ビジネス』の記事を読む限り、習近平総書記
の本気度は伝わってきます。

 

 トラ 

 


 汚職に手を染めた大臣・次官級の大物を指す。

 高い地位を利用して自らの派閥や一族に有利に

 なるよう便宜を図ってきた。大物になれば逮捕

 されないというこれまでの不文律を破り、

 習近平政権はむしろトラから標的に。

 反腐敗を大義に権力闘争の様相も呈する。

 

  (P.027)

 

 ハ エ 

 


 職権を利用して賄賂を求める地方政府の下級役人。

 カネのニオイを嗅ぎつけ、たかる生態はハエそのもの。

 習近平政権は「すべてのハエを駆除する」との目標を

 掲げ、2014年だけでも5万人以上が捕まった。

 どんなに叩いても切りがないのがハエのハエたるゆえん

 だが…。

 

  (P.026)

 

 キツネ 

 


 資産を持って海外に逃亡した官僚。

 中国語でキツネには「ずる賢い人」という意味がある。

 不正に持ち出された資金は8000億元(約16兆円)に

 達する。期限までに自首すれば罪を軽くすると公安当局

 が発表すると、出頭者が少なからず出てくるところも

 キツネらしい。

 

  (P.027)

 

「不正に持ち出された資金は8000億元(約16兆円)」と
いう金額があまりに巨額で、たまげてしまいました。

そう言えば、「虎の威を借る狐」という表現がありましたね。
背後に権力者を抱え、さも自分が大物のように威張る様
を表現したものです。

日本では、狐は人を騙す動物と言われてきました。
古典落語「紺屋高尾(こうやたかお)」に「狐は尾があって
騙すが、花魁(おいらん)は尾がなくても騙すからおいらん
(尾いらん)というのだ」という一節があります。

冗談はさておき、先にお話ししたように取り締まりを強化
していますが、腐敗はなかなか、なくならないようです。

 


 一筋縄ではいかないのが「上に政策あれば下に

 対策あり」と言われる中国だ。

 腐敗撲滅の活動が激しくなった結果、賄賂を要求

 する手口はより巧妙になっている。

 「イベントを行うので商品を送ってほしい」「値引きの

 代わりに追加の商品が欲しい」「知り合いを紹介する

 からコンサルティング費用を払ってほしい」。

 こういった名目で事実上の賄賂を要求する例もある

 という。「お世話になった人に贈り物をしたり、接待

 したりするのは中国に昔からある文化。今は嵐が過ぎ

 去るのを待っているだけで、なくなりはしない」。

 中国人の中にはこう言ってはばからない人もいる。

 

  (P.027)

 

このような過度な締め付けが行われた結果、物騒な噂が
駆け巡ったそうです。

 


 3月に開かれた全国人民代表大会(全人代)の直前、

 ある噂が中国大陸を駆け巡った。「クーデターが起きる」。

 あまりに苛烈な反腐敗運動に業を煮やした既得権益者

 たちが反乱を起こすというシナリオだ。

 「習近平は20回も毒見をさせたらしい」。こういった噂が

 最近、まことしやかに流れている。

 

  (P.027)

 

中国の成長は鈍化してきました。以前はGDP(国内総生産)
の成長率は前年比二桁を記録してきました。

今は、もう10%には達しません。それでも金額ベースで見ると、
莫大です。パーセントだけに着目していると、実態は掴めません。
基準となる数字の大きさによって、同率でも数字がまったく異なる
からです。

例えば、トヨタはクルマの生産台数が初めて1000万台を突破
しました。仮に今期10%増とすると、1100万台ということになり
ます。

一方、富士重工の生産台数は82万5000台(2014年3月期)
です。この10%増を考えると、90万台超に過ぎません。

ですから、パーセンテージと実数の両方を常に見ることが大切
です。

 

 PART 2 ピケティが解説
 中国が『新常態』に突き進む必然 

今年話題になった本がありますね。フランスの経済学者、
トマ・ピケティ氏が書いた『21世紀の資本』です。
私はまだ読んでいませんが。

そのピケティ氏が現代中国の問題点を解説しています。
中国で腐敗が進行した理由と、腐敗撲滅に邁進する
習近平政権の意図について、鋭い分析を行なっています。

早速、ピケティ氏の発言に耳を傾けてみましょう。
尚、「ピケティ氏のコメント部分は本誌取材、中国内での
講演やインタビューでの発言を基に再編集した」(P.031)
とのことです。

 

フランスの経済学者、トマ・ピケティ 氏
フランスの経済学者、トマ・ピケティ 氏
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.028)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 

まず、トマ・ピケティ氏についての、『日経ビジネス』の解説を
ご紹介します。

 


 『21世紀の資本』を著したフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏。

 経済格差が各国で深刻な問題を引き起こしている中で、

 同氏が導き出した「資本収益率(r)>経済成長率(g)」という

 不等式は世界的に注目を集めることになった。

 過去の膨大なデータを解析することで、「富める者がさらに富み、

 持たざる者との格差が広がる」という法則を明らかにしたからだ。

 

  (P.028)

 

簡単に言えば、富裕層が投資して得た収益率は、経済成長率
よりも大きいということです。大金を持っている人たちが有利な
ことは明らかです。r は return で、g は growth です。

ピケティ氏はこう語っています。

 


 もし本気で格差解消に取り組もうとするならば、今以上に

 多くの人が牢屋に入ることになるでしょう。中国はまず、

 所得、不動産、相続に関する税の累進性を強化するように、

 税制度を改正しなければなりません。

 

  (P.029)

 

後ほど出てきますが、中国では相続税がない(!)のです。
これが大きな格差を生む元凶の一つになっています。

汚職が蔓延する理由について語っています。

 


 そもそも中国では、なぜここまで汚職が蔓延するのでしょうか。

 それは、個人の収入をきちんと管理する制度がないからです。

 賄賂を受け取っても長期にわたって誰にも気が付かれないので、

 通常ではあり得ない金額の蓄財に走る人もいます。

 だからこそ、反腐敗運動は格差是正に非常に効果があるのです。

 

  (P.029)

 

日本と中国の違いについて述べています。
経済成長の過程で格差が解消された日本と、経済が発展すれば
するほど格差が広がる中国です。

 


 日本は経済成長の過程で格差が解消されていきましたが、

 中国は経済が発展すればするほど格差が広がっています。

 中国は社会主義の国であるはずなのに、大部分の資本が

 一握りの人に独占されています。このことを私は理解できない。

 

  (P.029)

 

ただし、「適度な格差は社会にとって有意義」とも語っています。

 


 ただ、私は中国が毛沢東時代に戻って全ての人が平等に

 なるべきだと言っているのではありません。むしろ、適度な

 格差は社会にとって有意義だと捉えています。

 なぜなら、それは人々の上昇志向やイノベーションを生み

 出す動機となるからです

 

  (P.029)

 

次に、歴代指導者は「富の分配」をどう捉えたか、という
テーマでご説明します。『日経ビジネス』には5名の指導者
が掲載されていますが、そのうち3名を選びました。

1人目は毛沢東(マオザードン)です。日本流に言えば
[もうたくとう]です。

 

毛沢東(マオザードン)
毛沢東(マオザードン)
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 


 毛沢東時代、土地や企業、資源といった資本や生産手段は

 すべて国のものとされ、計画経済の下、徹底した平等主義

 が貫かれた。

 

  (P.029)

 

毛沢東は、文化大革命を指揮した人物です。
共産主義の基本である、平等主義を貫いたということです。

 

2人目は、鄧小平(ダンシャオピン)です。日本流に言えば、
[とうしょうへい]です。

 

鄧小平(ダンシャオピン)
鄧小平(ダンシャオピン)
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 


 計画経済の非効率性や生産性の悪さを打破するには

 改革解放経済が必要と考えた。「先富論」を唱え、

 市場主義経済を導入。資本の開放・移転を進めた。

 

  (P.029)

 

毛沢東路線を大転換したのが、鄧小平です。
「先富論」を唱え、中国が成長した反面、大きな格差を
生み出す要因になりました。

 

そして、3人目は現政権の習近平(シージンピン)です。
日本流に言えば、[しゅうきんぺい]です。

 

習近平(シージンピン)
習近平(シージンピン)
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 


 胡錦濤政権の和諧社会が「絵に描いた餅」に終わり、

 習近平政権は前政権から引き継いだ「負の遺産」に

 本格的に対処しなければならなくなった。経済成長が

 鈍化する中で、農村と都市部の貧富の差が引き起こ

 す社会不安、国有企業、地方政府といった資本を持つ

 既得権益層の排除といった難問に取り組まねばならない。

 2015年の全人代の政府活動報告では「城鎮化」と呼ば

 れる、内陸部の都市化政策こそ格差解消の手段である

 と強調した。都市化政策で雇用を増やし、所得格差を

 是正する考えだ。

 

  (P.030)

 

「胡錦濤政権の和諧社会」と言うのは、「調和の取れた社会」
(P.029)という意味です。

沿岸部と内陸部の格差を示す図表があります。
沿岸部と内陸部との格差は5倍開いているということです。
容易に埋まる状況にありません。

先に豊かになった沿岸部
内陸部との格差は5倍
先に豊かになった沿岸部
内陸部との格差は5倍
(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号

 


 2012年の中国統計年鑑によると、都市と農村部の

 1人当たり所得格差は1980年に2.5倍だったが、

 2011年には3.1倍へと拡大している。また、1人当たり

 のGDP(国内総生産)は最も高い天津市と最も低い

 貴州省の差は約5倍だ。沿岸部と内陸部の経済格差は

 いまだ解消されてはいない。

 

  (PP.030-031)

 

ピケティ氏は「問題の本質は、資本の分配のされ方、
そして税制の問題にあります」(P.031)と指摘しています。
とりわけ、「中国には相続税がないことが格差を助長
させる要因にもなってい」(P.031)ると述べています。

 


 問題の本質は、資本の分配のされ方、そして税制の

 問題にあります。中国は急速な経済発展を遂げて、

 一握りの人がお金持ちになりました。それ自体は

 途上国の発展段階として自然な現象です。しかし、

 中国政府は富裕層が資本を独占することを規制し、

 低所得者層にも富がきちんと分配される仕組みを

 導入できていません。

 例えば、中国の富豪ランキングに載るようなお金持ち

 がこの1年間に納めた所得税は、一般的なホワイト

 カラー1人が納めた所得税とそれほど変わりません。

 これではお金持ちはますます富み、貧しい人はます

 ます苦しむ。これが非常に大きな問題なのです。

 

  (P.031)

 

ではどうすれば良いか。ピケティ氏はこのように述べて
います。「資産を持つ者に対しては相続税を課すべき」
(P.031)と。

 


 中国政府は財産を再分配できる制度を速やかに取り

 入れるべきです。驚くべきことに、中国には相続税が

 ありません。それは、格差を助長させる要因にもなって

 います。資産を持つ者に対しては相続税を課すべきです。

 加えて中国政府は、所得税の納付状況を透明化した方が

 良いでしょう。それは、政府に対する国民の信頼を高める

 ことにつながるはずです。

 

  (P.031)

 

将来の中国の懸念材料は一人っ子政策によって、日本ほどで
はないにせよ、人口減少が明らかなことです。
一時BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一角として、
成長性が高い国の1つと並び称されましたが、インドと比較する
と大きな違いがあるそうです。

 


 人口の減少は、中国のGDPに確実に影響を与えます。

 2030年以降、中国の人口は減り始めます。同じ人口が

 多い国でも、生産人口を依然多く抱えるインドと高齢化

 が既に始まっている中国とでは、中身が全然違います。

 これから人口ボーナスが期待できるインドと、それが消失

 しつつある中国では、今後たどる道は明らかに違ってくる

 でしょう。

 

  (P.031)

 

ただし、中国企業の中には世界に通用する企業が増えてきた
ことも事実です。「イノベーションの担い手は着実に増えている」
(P.031)とは、『日経ビジネス』の見方です。

 


 世界に通用する中国企業も次々と台頭している。

 斬新なスマートフォンを販売し中国のアップルとも評される

 小米科技(シャオミ)、中国語圏以外にも勢力を拡大する

 インターネット企業の騰訊(テンセント)、そして世界有数の

 家電メーカーとなった海爾集団(ハイアール)など、イノベー

 ションの担い手は着実に増えている。

 

  (P.031)

 

今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 新常態 
 反腐敗 
 成長の鈍化 
 日本の商機 
 バブル 

 

次回は、
「PART 3 日本企業にはむしろ商機
 失速下でも稼ぐ5つの鉄則」
をお伝えします。

ご期待下さい!

 

 

 

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