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STAP細胞の作製に関するマスコミの対応について 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ


 

STAP細胞の作製に関する
マスコミの対応について

 

今年(2014年)1月下旬、理化学研究所
(理研)の研究ユニットリーダーの小保方晴子
さんが、STAP(新型万能細胞)の作製に
成功した、という報道がありました。

英科学雑誌「ネイチャー」のサイトにSTAP
細胞の作製の概要が、掲載されました。

その後、2カ月も経過しないうちに、インター
ネット上で、「同じ手順で行っても再現できない」
とか「画像が作製者の他の論文に掲載されていた
画像に酷似している」などの書き込みが寄せ
られました。

こうした指摘に対し、理研は即答を避け、「調査中」
ということで問題を先送りしました。

この間、週刊誌などのマスコミは、問題の本質には
関係のない、スキャンダルやプライベートの問題を
取り上げ、「STAP細胞を作製できたのか、でき
なかったのか」ということを究明する責務を怠り
ました。

もちろん、その責任の一端は理研にあります。

3月14日に理研は、ネイチャーに掲載した論文に
画像改ざんなど「重大な過誤があった」(野依良治
理事長)として、撤回の意向を示しました。

この時点では、中間報告という形で、事件の全貌を
明らかにしたものではなかったため、憶測が憶測を
生んだ点は否めません。

その点を差し引いても、週刊誌などのマスコミが
寄ってたかってスキャンダルやプライベートの問題
を取り上げるのは、いかがなものでしょう。

すべての責任を小保方さん一人に負わせるのは、
間違っています。

日本のマスコミが本来伝えるべき情報を伝えず
(十分な情報を持っていないため伝えられず?)、
大衆ウケする話題(「他人の不幸は蜜の味」)を書く
ことに躍起になっているとしか思えません。

物事を冷静に、客観的に評価することができない
のはないかとさえ思います。

個人的な感想なら、どのように解釈してもそれまでの
ことです。

ですが、不特定多数を相手にするマスコミ(メディア)が、
耳目に触れることを行うとなると、話は別です。

報道の原点が問われているのです。伝えるべき事実と、
本質とは関連のないことを峻別する姿勢が問われて
いるのです。

記事を書く記者は、一応物書きのプロと見なされて
います。その人たちが、好奇の目で、ことの成り行き
を見て、バイアスのかかった記事を書くとしたら、
プロとして恥ずかしい、と自覚しなくてはなりません。

 

日経ビジネスはこの問題に対して、どのようなスタンス
で記事を書くのか、気になっていました。

既述の週刊誌などとは一線を画す、ビジネス誌だと私は
思っています。

そう思っていた時、タイムリーな記事を読みました。

日経ビジネス(2014.03.24最新号)の「時事深層」と
いうコーナーで、『STAP騒動、「勇み足」の理由』
というタイトルで見開き2ページにわたって、記事を
掲載しています。

現時点で判明している事実を、田中深一郎記者と
林英樹記者の2人が、主観を交えず、淡々と伝えて
います。

 

勇み足と指摘している内容をまとめてみます。

・ 米ハーバード大学のバカンティ教授も共同執筆者に
 名を連ねているが、理研が単独で記者発表した

・ 細胞に刺激を加えて万能細胞へ初期化する手法は
 バカンティ氏が以前から唱えていたアイデア

・ 小保方さんがハーバード大へ渡った背景には
 「バカンティ教授の構想を実験で証明する役目が
 あった」と関係者は明かしている

・ 理研独自の成果のような印象を社会に与えた

・ 理研は今年、2つの重要な“イベント”を控えていた
 1つは、高額年俸で国内外から有能な研究者を獲得
 できる「特定国立研究開発法人」への指定。
 もう1つは国家予算を含め1000億円以上を投じる
 スーパーコンピュータ「京」の次世代機開発プロジェクト

・ 上記イベントを成功裏に運ぶために、「めぼしい成果」
 の象徴が、ネイチャーへの論文掲載

        (日経ビジネス 2014.03.24 P.010-1)

 

小保方さんに関しては、次のように書いています。

「科学者としての基本的なルールを逸脱した実態」として、
「別の論文をそのままコピーして貼り付けたほか、遺伝子
の実験画像の切り貼りも認めた」「(画像加工を)やって
はいけないという認識がなかったと、小保方氏は述べて
いるという」

さらに、「小保方氏が2011年に早稲田大学で博士号を
取得した論文でも、約20ページ分の文章が外部の研究所
のサイトとほぼ同じ内容だという指摘が出ている」
                    (上掲誌 P.011)

 

ただ、こうした点について、同情の声も掲載しています。
「大学院時代、熱心に研究に取り組んでいた小保方氏の
姿を知るある大学教員。『京都大学の山中伸弥教授が
iPS細胞を開発した時は、論文発表を遅らせてでも念入り
に詳細を詰めていた。小保方さんには、自分が本当に
納得できる結果を得るだけの余裕が周囲から与えられて
いたのだろうか』と同情の声を漏らしていた」
                    (上掲誌 P.011)

 

STAP騒動はまだ解決していないため、安易な発言は
慎みますが、理研にも小保方さんにも焦りがあったことは
否定できません。

ハーバード大のバカンティ教授が論文撤回に反対して
いる理由が、分かりました。

論文の撤回には、原則、共著者全員の合意が必要だから
です。

ですが、ネイチャーの場合は、全員が合意しなくても可能、
と言われています。

国内外の研究所や機関、科学者が日夜「成果」の果実を
手に入れるため、激しい競争をしている現実を垣間見た
出来事でした。

 

今、読んでいる本があります。
『理系白書 この国を静かに支える人たち』
毎日新聞科学環境部 講談社文庫 
2006年6月15日第1刷発行 オリジナルは2003年6月刊

オリジナルは11年前に出版された本なので、内容が
古い印象を受けますが、決してそんなことはありません。

理研の野依良治理事長が、名古屋大学大学院教授として
在籍した当時のことが書かれています。

ご存知の通り、野依さんは2001年にノーベル化学賞を
受賞しています。ですから、受賞後のエピソードです。

 


 野依研の厳しさは有名だ。あるOBは

 振り返る。「なにしろ厳しい人です。

 妥協を許さない。完璧な実験データ

 がとれるまで論文はノー。博士になる

 のに五、六年かかる例はざらです」。

  (上掲書 P.54)

 


 田中さん(野依研で博士号取得を当時

 目指していた大学院生)を支えている

 のは、野依教授のこんな言葉だ。

 「一番いいもの(物質)をめざしなさい。

 世界中の化学者が乗り換えるような

 ものでなければ」。

  (上掲書 P.56)

 

最後に、ネイチャーに掲載されたSTAP細胞に関する
論文をご紹介します。

この論文が撤回され、ページが削除される可能性が高い
ため、記録として残しておくため、PDFにしました。

 

Stimulus-triggered fate conversion of
somatic cells into pluripotency

 

 

 

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