『考える技術』(16)
『考える技術』(初版 2004年11月4日 講談社)は、大前氏の考え方のフレームワーク(枠組み)のエッセンスを述べた本です。
教育には『知育』『体育』『徳育』があります。どれか一つに偏ってはいけません。『知育』を一つをとっても、憶えるだけの詰め込み教育では応用が利きません。
大前氏が言うようなパスファインダー、道なき道を進むためには徹底的に『考える』という訓練が不可欠です。
ものごとが起こる前には必ず「予兆」がある―「ハインリッヒの法則」*に通ずるものがあります。
* 「ハインリッヒの法則」
<1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、さらにその裏にはケガまではないものの300件のヒヤリとした体験が存在しています>
『失敗学のすすめ』 畑村洋太郎 講談社
ハインリッヒの法則は、経験則です。
新しい発想や構想というものは、論理的思考の延長線上にあるものであって、突然出てくるものではない。
目の前で起こっている現象に対して「どうしてなのか」と疑問を持ち、
いろいろな仮説を立てては、その仮説が本当に正しいのかどうか
さまざまな設問をしていく。
そして「中国はなぜ急速に伸び始めたのか」ということを自分に対して
質問してみる。
こうした思考の延長線上に1つの発想が生まれてくるのである。
今日の名言 1 〈46〉
ここで私が言いたいのは、いいアイデアを生み出そうとか、飛びぬけた発想をしようと思っても無駄だということだ。
やはり日常の中で、論理的思考のトレーニングを行う。
体力づくりで言えば腕立て伏せを毎日するように、
思考のトレーニングをするしかないのである。
今日の名言 2 〈47〉
論理的思考の中でも、とくに発想の思考回路を鍛える上で有用なのは、ふだん使っていないセンス(感覚、触覚)を使うことだ。
これは別に難しいことでもなんでもない。
たとえば雲を見て、その5分後の姿を想像してみるのもトレーニング
方法の1つだ。
今日の名言 3 〈48〉
自問自答を習慣化することは、有益だと思います。
ある問題を解決するためにはどうするのが良いのか、自分なりの解答を
複数、出来れば3つ以上用意します。
その上で、検証してみる。すると、当たることもありますが、たいがい
外れます。
自分が予想した答えが、どうして外れたのか?
前提が間違っていたのか? それとも見かけ上の問題を本質的な問題と
取り違え、本質的な問題を捉えきれていなかったためなのか?
通常、外的要因と内的要因に分けて問題を分析しますが、内的要因が
本質的な問題とリンクしていることが多いようです。
もちろん、すべてではありませんが。
ワンパターンの思考プロセスを一旦オールクリア(大前さんがよく
使います)してみることは、思考停止しないためにきわめて重要で、
必須なことです。
怖いことは、思考停止すると、自分の考えが常に正しいと思い込み、
驕りを生むことです。
最悪なのは、肩書を持ち、権力をかさにきて、他人の異論を無視し、
威張り散らし、自分の考え方を押しつけることです。
慣れ → 思考停止 → ワンパターン化 → 驕り
いつでも、そういった状況にならないように注意しておかないと、
いけません。裸の王様は見苦しいし、本人が気づいていないだけに、
悲しい存在です。
難しいことですが、自分をいかに客観視できるかに関わってきます。

